【久留米市】農地を売買するには?必要な許可・手続き・注意点
農地は一般の宅地とは違い、売買に農地法の許可が必要です。久留米市は、福岡県内で農地転用の許可権者が「県知事」ではなく「市長」となる指定市町村(福岡市・久留米市・那珂川市の3市)のひとつです。手続きの流れや窓口も他市とは一部異なるため、注意が必要です。
この記事では、久留米市で農地を売買する際に必要な許可の種類、手続きの流れ、費用、注意点を、市や県の公式情報に基づいて解説します。
久留米市の農地は自由に売買できる?

農地の売買には農地法の許可が必要
農地は「国全体の食料供給の基盤」として守られているため、一般の土地のように自由に売買することはできません。農地を売買・貸借する場合や、農地を転用する場合には、農地法に基づく許可または届出が必要です。
許可を受けずに農地を売買したり、無断で転用したりすると、農地法違反として工事の中止・原状回復命令や罰則の対象になります。「農地を売る・買う」と決めたら、まず農地法の手続きがあることを前提に動きましょう。
農地を買える人には条件がある
農地を農地として取得(売買・贈与・貸借)する場合は、農地法第3条に基づく農業委員会の許可が必要です。許可には、購入する人が農地を適正に耕作できることが求められます(久留米市公式の農地法第3条許可申請ページ)。
- 個人の場合:購入後、その農地を含めて取得した農地のすべてを自ら耕作することが必要。営農計画書の提出が求められます。
- 法人の場合:農地所有適格法人であることが必要。定款や事業状況などの確認書類の提出が求められます。
- 下限面積要件は廃止済み:従来は「取得後の経営面積が一定面積以上」という下限面積要件がありましたが、令和5年4月1日の農地法改正で廃止されました。少面積の農地でも3条許可の申請が可能になっています。
農業目的で購入する場合と転用目的の場合
| 購入目的 | 手続き | 許可権者 |
|---|---|---|
| 農地として利用する(耕作目的) | 農地法第3条の許可 | 久留米市農業委員会 |
| 転用する(住宅・駐車場など)※市街化区域外 | 農地法第4条・第5条の許可 | 久留米市長(指定市町村のため) |
| 転用する(住宅・駐車場など)※市街化区域内 | 農地法第4条・第5条の届出 | 久留米市農業委員会(届出先) |
「農地のまま耕作するために買う」のか「宅地などに転用するために買う」のかで、申請書類も審査基準もまったく異なります。
久留米市で農地を売買する方法

農地を農地として売買する場合
農地を農地のまま売買する場合は、農地法第3条の許可を取得してから所有権移転登記を行います。申請は売主・買主の関係で、買主を中心に手続きを進めます。
- 受付時間:平日 午前8時30分〜午後5時15分(休日・年末年始を除く)
- 受付窓口:申請地を管轄する農業委員会の各事務所
- 農業委員会事務局(市庁舎15階)電話:0942-30-9236
- 田主丸事務所(田主丸総合支所内)電話:0943-72-2110
- 北野事務所(北野総合支所内)電話:0942-78-3569
- 城島事務所(城島総合支所内)電話:0942-62-2115
- 三潴事務所(三潴総合支所内)電話:0942-64-2315
- 審議:締切日までに提出された申請を、翌月の農業委員会総会で審議
- 許可書交付:農業委員会総会日の翌日以降
申請書類には、農地法第3条許可申請書、営農計画書、新規就農者調書、代理権授与通知書などがあります。
農地を転用して売買する場合
農地を買主が住宅や駐車場などに転用する目的で売買する場合は、農地法第5条の許可が必要です。自分の農地を自分で転用する場合は農地法第4条、売買や賃借、贈与を伴って転用する場合は農地法第5条です。
久留米市の農地転用(4条・5条)について、市公式サイトでは次のとおり案内されています。
- 市街化区域の農地:届出
- 市街化区域以外の農地:許可申請
久留米市は指定市町村のため、転用許可は市長が行いますが、一定の案件では県農業会議への諮問を経るため、許可までに時間がかかる場合があります。
農地を売買するときの基本的な流れ
- 事前相談:農業委員会事務局で、農地区分・農振該当・転用の可否などを確認
- 売買契約:許可の見込みを確認したうえで、売買契約書を締結
- 許可申請:農地法第3条または第4条・第5条の申請書類を提出
- 審議・許可:農業委員会総会を経て許可
- 登記:所有権移転登記
- 引渡し・工事:転用許可の場合は、工事の進捗状況報告書・完了報告書の提出義務があります
※売買契約を締結する前に、農地転用許可の見込みがあるかを農業委員会で確認することが大切です。許可が下りなければ所有権移転ができず、手付金の返還などをめぐるトラブルになることがあります。
久留米市で農地を売る場合の手続き

農地法3条の許可
農地を農地として売却する場合は、買主が耕作目的で農地を取得するための農地法第3条許可を前提に進めます。
- 買主が農業委員会の許可基準を満たすか事前に確認する
- 売買契約書には「農地法第3条の許可が下りなかった場合は契約を解除できる」などの条件を入れておく
- 許可を受けるまでは、売主が農地をきちんと耕作・管理し続ける
農地を転用して売却する場合
宅地や駐車場などに転用してから売却する場合は、農地法第5条の許可申請を売主・買主の連名で行います。
転用許可の申請には、許可申請書のほか、位置図・公図・土地の全部事項証明書、資金計画書、事業計画書、被害防除計画書、水利関係書類などが必要です。
久留米市では、農地転用許可申請は本庁舎15階の農業委員会事務局のみで受付です。注意しましょう。また、申請前に農地区分の見込み判定を依頼し、転用できる農地かどうかを確認してから申請するのが基本です。
農振農用地の場合は注意
対象の農地が農用地区域内農地(農振農用地・通称「青地」)の場合は、そのままでは転用できません。農業振興地域整備計画を変更して農用地区域から除外する「農振除外」の手続きが先に必要になります。
久留米市の農振除外の申出受付は10月と3月の年2回で、県との協議や現地調査、変更案の公告・縦覧などが法律で義務付けられているため、申出受付から手続き完了まで約1年かかります。
久留米市で農地を買う場合の注意点

農地を買える人には条件がある(買う側の実務チェック)
農地を購入する場合、前述のとおり農地法第3条または第5条の許可が必要です。買う側として特に確認しておきたいポイントは次のとおりです。
- 自分が許可基準を満たすか:農地として購入するなら「自ら耕作すること」が原則。耕作の意思がなければ、転用目的か、購入自体が難しいと考えるべきです
- 農地区分の事前確認:購入予定地が第1種農地や農用地区域内農地なら、転用許可が下りない可能性が高い。売買契約前の確認が必須です
- 市街化区域かどうか:市街化区域内なら届出、市街化区域外なら許可と、手続きと期間が変わります
購入後に農地転用する場合
「農地を買って、その後に住宅や駐車場に転用したい」場合は、農地法第5条の許可を売買と併せて申請するのが一般的です。許可が下りてから所有権移転登記を行い、工事に着手します。
転用許可後に注意したいのは、工事進捗状況報告書と工事完了報告書の提出義務があることです。また、許可を受けた事業計画どおりに転用しないと、農地法違反として工事中止や原状回復命令を受けることがあります。
農地転用できない土地もある
農地転用の許可基準では、農業生産への影響が少ない農地から順次転用されることとされています。市街化調整区域内の土地改良事業対象農地である甲種農地や、概ね10ヘクタール以上の一団の農地等である第1種農地は、原則として転用が許可されません。農用地区域内農地も原則不許可です。
久留米市の農地売買にかかる費用

許可申請にかかる費用
農地法の許可申請(第3条・第4条・第5条)の行政への申請手数料は、原則としてかかりません。申請書類や添付書類は、市役所や県のホームページから無料で入手できます。
実際にかかる費用の中心は、以下の「登記・測量・専門家」関連の実費です。
| 項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| 行政への許可申請手数料 | 原則無料 |
| 登記簿謄本(全部事項証明書)の取得費 | 1通あたり数百円〜1,000円程度 |
| 農地区分の見込み判定・農用地区域内・外証明 | 市の手数料(数百円程度が一般的。市に要確認) |
| 行政書士への依頼料(許可申請の代行) | 概ね5万円〜20万円程度が目安(内容・事務所により異なる) |
仲介・測量・登記などの費用
農地の売買では、許可申請以外に次のような費用が発生します。
- 仲介手数料(不動産会社を介する場合):宅地建物取引業法で定められた上限額は、売買価格の3%+6万円+消費税。売主・買主それぞれが支払います
- 測量費:地積測量図がない土地や境界が不明な土地は、土地家屋調査士による測量(数万円〜十数万円程度)が必要になることがあります
- 所有権移転登記の登録免許税:土地の売買による所有権移転登記には、原則として不動産価格の2%(土地売買の軽減税率が適用される期間は1.5%)の登録免許税がかかります(軽減措置の期間は法律改正で変わるため、法務局で最新の税率をご確認ください)
- 司法書士への報酬:登記手続きを依頼する場合、概ね5万円〜10万円程度が目安(物件数や内容により異なります)
なお、農地転用を伴う売買では、行政書士(許可申請)と土地家屋調査士(登記)の2つの専門家への依頼が必要になるのが一般的です。複数の事務所で見積もりを比較しましょう。
農地を売買した後に必要になる手続き

農地として利用する場合
農地法第3条の許可を得て農地を取得した場合は、所有権移転登記を行い、その後は農地として適正に耕作・管理することが求められます。
- 利用状況の報告:農業委員会は農地の利用状況を調査しており、遊休農地(耕作されていない農地)については指導・勧告の対象になります
- 相続などで取得した場合:相続によって農地を取得した場合は、農業委員会への届出(農地法第3条の3)が必要です
- 許可を受けた農地を無断で転用すると、農地法違反になります
農地転用する場合
農地法第5条の許可を受けて転用する場合は、次の手続きが必要です。
- 工事進捗状況報告書:許可の日から3か月後、その後1年ごとに提出(工事完了まで)
- 工事完了報告書:工事が完了したら提出(福岡県公式サイトより)
- 都市計画・建築関連の手続き:開発行為を伴う場合は開発許可、建築する場合は建築確認申請などが必要です
転用後の地目変更登記
農地転用の工事が完了したら、登記簿上の地目(田・畑など)を転用後の現況(宅地・雑種地など)に変更する地目変更登記が必要です。土地の現況に変更があった場合、変更から1か月以内の申請が原則とされています(不動産登記法第35条)。
- 登録免許税:地目変更登記は表示に関する登記のため、登録免許税はかかりません
- 土地家屋調査士への報酬:1筆あたり概ね4万円〜6万円程度が相場(地域・内容により異なります)
地目変更登記を怠ると、固定資産税の評価が実態と合わないままになるほか、将来の売却・相続時に手続きが煩雑になります。農地転用をしたら、地目変更登記までセットで進めるのが基本です。
まとめ:久留米市の農地売買は「農地法の許可」が大前提
久留米市で農地を売買する際のポイントを整理すると、次のとおりです。
- 農地の売買には農地法の許可(3条:農地として取得/5条:転用目的)が必須
- 久留米市は指定市町村のため、転用許可権者は県知事ではなく市長。ただし一定案件は県農業会議への諮問あり
- 窓口は農業委員会事務局(市庁舎15階。転用申請は本庁のみ受付)
- 農用地区域内(青地)の農地は農振除外が必要。受付は10月・3月の年2回、完了まで約1年
- 買う前に農地区分の見込み判定・農用地区域内・外証明で「転用できる土地か」を確認
- 許可後は、農地として適正に管理するか、転用工事の報告義務を果たし、地目変更登記まで完了させる
農地の売買は、宅地と違って「許可が下りてから登記・引渡し」という手順になるため、スケジュール管理が重要です。売買契約の前に久留米市農業委員会事務局(市庁舎15階、電話:0942-30-9236)へ事前相談すれば、失敗のリスクを大きく減らせます。農地の売却・購入をお考えの方は、まずお気軽に市の窓口へご相談ください。

